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成河×松下洸平×高橋洋 インタビュー
成河さん、松下洸平さん、高橋 洋さんによるロングインタビューを敢行!
公演に向けて意気込みや原作に対する思いを語って頂きました。
今回の舞台、どのような点に最も心を惹かれてお話をお受けになりましたか?

成河
演出の栗山さんとは2回、お仕事をさせてもらいました。また観客席から栗山さんの作品を観ることも多くて、僕は大好きなんですよね。栗山さんが演出されるということであれば!と、もう二つ返事でお受けしました。役など細かいことを伺う前に(笑)。お声をかけていただいてすごく嬉しかったです。

松下洸平
まず栗山さんの演出だということで、即オッケーしました。栗山さんとは『スリル・ミー』という作品でご一緒させていただいたんですけど、それ以外の舞台でもご一緒する機会がいつか来たらいいな…と思っていたところに、今回のお話をいただいたので。あとは、キャスティングに成河さん、高橋洋さんのお名前をお見かけして、これはもう絶対にやりたい!と思いました。

高橋洋
もう、お受けするも何も、ぜひ使ってくださいとお願いするほうでして(笑)。僕は栗山さんの演出を受けるのは初めてで、いつかご一緒させてほしいとずっと思っていたので、今回は本当にありがたいなと思っています。僕も、役については後から聞きました(笑)。


手塚治虫作品について、思い出や思い入れなどがあれば教えてください。

成河
手塚作品との最初の出会いは、中学、高校の時の学校の図書館ですね。『火の鳥』や『ブラックジャック』などを手に取りましたが、あまり漫画だという印象ではなかったです。どれを読んでもそんなに簡単に理解できるものではないですし、後味がいいものばかりでもない。当時、中高生でそんなに細かいことまではわかっていませんでしたが、何かの一コマがずっと心に引っかかって残っているんですよね。今回の出会いも、すごく面白いな と感じています。

松下洸平
僕は以前、舞台で手塚治虫さんの役をやらせていただいたことがあって、当時にいろんなことを調べました。大阪公演の際には電車で宝塚まで行って、手塚さんが幼少期を過ごした街をひとりでぷらぷら歩いたりもして。ああ、こういうところで育って、こんな体験をされて、こんな思いで漫画を描くようになったんだな…と、いろいろなことを知りましたね。僕にとってはすごく思い入れのある方なので、また『アドルフに告ぐ』で手塚さんと再会できたことにビックリしましたし、楽しみでもあります。縁があるな、と感じます。

高橋洋
初めて手塚さんの本を読んだのは学生時代で、『アドルフに告ぐ』もその頃でした。手塚さんの作品が舞台化されたのを初めて観たのは、新国立劇場で上演された、栗山さんが演出した『ブッダ』でしたね。


出演するにあたって原作漫画を再読されたと思いますが、
あらためて感想を教えてください。


成河
いや~本当にこれは大挑戦、大冒険だと思いますよ。どこまでちゃんとやれるか、にかかっているなと。栗山さんは冒険、挑戦好きな人だと思うので(笑)、そこに僕たちがきっちりと乗っかっていけば、面白くなるんじゃないかなと。今は本当に冒険の、一番最初の船作りの段階。これから海に出て、どこへ行き着くのか。見る景色を楽しみに待っている感じです。

松下洸平
あとがきのところに、手塚さんご本人が“すべてを描き切ることはできなかった”と書いていらっしゃるんですよね。僕も読みながらアレ?どうしてこうなったんだろう?あそこはなぜ?とわからないままで終わっている部分があって。そこが戯曲になった時に、どこまで表現できるんだろうか…と。たぶんすべてを表現しようとすると5時間でも収まらないくらい…、二日間くらいかけるすごい舞台になっちゃうと思うので(笑)。どこまで凝縮した舞台になるのか、すごく楽しみです。

高橋洋
再読して、いいな、と思ったのは、最後に“表現として適切でないという指摘もあるけれど、手塚作品の根底にはつねに「命の尊さ」「人間に対する愛」が流れている。作者の意向を尊重して原本のまま出版させていただく”といった説明書きがあるんですね。本当は見せたくない表情や言葉かもしれないけれど、何かをきちんと描こうとする姿勢は素晴らしいなと。今はとくに、なるべくそういったものを隠蔽しよう、蓋をしようとするところがあるので、僕らにとっては大事なことだと感じます。物語には強く大きなメッセージがありますが、それをエンターテインメントとして楽しめるように描いていることも、あらためてすごいなと感じました。舞台を観に来ていただくのも同じだと思うんです。お客様に感じてほしいことはもちろんあるけれど、同時に、楽しんでいただける作品にしたい。きっとそうできると思います。

演出の栗山民也さんについて。
過去の印象的な出来事や、これからの期待をお聞かせください。


成河
今もダメ出しは長いのかな?(笑) 昔から栗山さんとお仕事をされている方は、それこそ2時間、3時間は当たり前だって言ってましたけど、僕も数年前にご一緒させていただいた時は、ギリギリ2時間くらいダメ出しがあった時がありました。「ちょっと長いけどね」って言って、しゃべり出して気づいたら2時間、みたいな(笑)。最近はもっと短くコンパクトになってきているみたいですけどね。俳優それぞれに対して気づいたことを言っていくんですけど、やっぱり作品の話としてとらえて、全員でその空気感を共有しようというお考えがつねにある方なんですよね。そこに僕は惹かれますね。

松下洸平
印象に残っているのは、短い言葉で役者に答のようなものだけをポーンとくれて、どうやったらその答の言い方になるんだろう、どうやったらそう動けるだろう…と役者に探させて、考えさせてくれる、そんな演出です。今回もどんな言葉で僕たちを動かすのか、楽しみですね。その動きによってすごく心が震える瞬間が何度もあるし、役者をやる僕らにとっては、その気持ちがあるからやめられない。明日も、明後日もやりたい!と思わせる、けっして終わりを作らない演出を、今回も楽しみにしています。

高橋洋
二人(成河、松下)のお話を聞いて、今の自分にどれくらい力があるのか、ないのか、良くなっているのか、ダメになっているのかということを、シビアに試されるんだろうなって思いました。非常に緊張しますね。ただ栗山さんの演出を受けることで、一つ、自分自身のハードルを越えられたら、また次のステージに行けるんじゃないかなという気がしているので、それはすごく楽しみですね。


同じアドルフという名の役を演じる皆さんですが、
それぞれの印象をお聞かせください。


成河
松下くんは、一昨年に舞台『スリル・ミー』で拝見しました。『スリル・ミー』という作品自体がとても面白くて、それはたぶん栗山さんのお力だろうと。けして演出家や俳優の印象が前に出るのではなく、物語をそのまま観客に届けてくれる。その中で松下くんは、すごく誠実にお芝居をされていて、素敵な俳優さんだなと思ったので、楽しみです。洋さんは、鶴見辰吾さんが「ヒットラーは歴代の名だたる俳優が演じてきたから大変。だけど高橋洋くんはクレイジーだからできるよ。アイツくらいしかできない!」って言ってました(笑)。すごくストイックで、良い意味でクレイジーで、熱量を持った方という印象があります。物語の中でカウフマンはヒットラーの秘書になるので、楽しみにしています。早く稽古がしたいですね~。

松下洸平
成河さんは野田MAPの公演とかを拝見していたので、もう上手から下手まで駆け回って(笑)、素晴らしく身体能力の高い俳優さんだなという印象がありました。いろんな方から成河さんの話を聞くんですけど、成河さんとは面識のない俳優さんすらも「舞台を観て、本当に好きな俳優」とおっしゃるんですよ。だからご一緒できるのがすごく嬉しいです。洋さんは去年ドラマでご一緒させていただいたんですけど、そんなに絡むシーンもなかったので話す機会がなかったんです。演劇人としての高橋洋さんから学ぶことはたくさんあると思うので、早く稽古がしたいです!

高橋洋
勝手なイメージなんですけど、二人とももっとアーティスティックを気取って、下向いてタバコ吸いながら音楽聴いてる、みたいに思ってたんです(笑)。でもすごく明るくて、人の心を開かせてくれる、生のオーラみたいなものを持った人たちだなって思いました。僕、自分が明るくないので(笑)、二人の明るさをすごくいいなと思います。


期待されている観客の皆様にメッセージをお願いします。

成河
僕自身はけっして戦争や宗教などに詳しいわけではないですが、原作を読んで、これは他人事ではない、と感じた作品です。その感覚こそ、演劇の、舞台の領分じゃないかと思うんですね。その場にいる人たち皆で、共有せざるを得ない。なんでもかんでも他人事と見過ごしてしまうことが多い今こそ、この『アドルフに告ぐ』を舞台で上演すると、もう我々は逃げられないと思うわけです(笑)。栗山さんはけっして逃げずに、立ち向かうと思います。お客様にも、もちろんエンターテインメントとしてお届けしますが、ただ泣いて笑ってスッキリするだけじゃない、何か考えるきっかけになるものを持ち帰っていただきたい。そんな貴重な体験ができる作品だと思うので、ぜひ劇場にいらしていただきたいと思います。

松下洸平
単なる漫画ではなく、語り継ぐべき、残すべき資料と言えるくらいに貴重な物語だと思います。僕もあらためて読んで、初めて知ったこともいっぱいあったし、もう少し世界のことを知ろうとも思った。そのきっかけを僕がもらったように、この作品を観てくださるお客様もきっと、そう受けとめてくださるだろうと思います。作品から知ったことを、掘り下げて、自分の中に落とし入れて、次の世代に伝えていく…、そんな連鎖が起きるといいなと思って、この作品に臨みます。つながりを作れるように考えていきたいです。

高橋洋
面白かったという思いと、何か心に残ったという感覚、それが同時に成し得る芝居だと思います。そうなるように僕らは作っていくつもりです。演劇ファンじゃなくても、また手塚ファンじゃなくても、劇場に来ていただければ十分に楽しんでいただけると思います。
【 全 日 程 終 演 い た し ま し た 】
たくさんの皆様のご来場、
誠にありがとうございました。
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舞台「アドルフに告ぐ」公式ホームページ | 2015年6月3日(水)~6月14日(日) | KAAT神奈川芸術劇場 ほか
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