アフタートークレポート  稽古場レポート  ロングインタビュー
アフタートークレポート (1)

6月3日に神奈川芸術劇場での初日の幕が開いた舞台「アドルフに告ぐ」。4日の終演後には、アドルフ・カウフマン役の成河、峠草平役の鶴見辰吾に、原作の手塚治虫さんの長女で手塚プロダクションの取締役でありプランニングプロデューサーの手塚るみ子さんも加わり、物語の背景や手塚治虫さんの執筆当時の様子、役作りの苦労などについて突っ込んだトークが繰り広げられた。るみ子さんと鶴見さんは成蹊中学・高校の同級生であることも明かされ盛り上がりを見せた。
(司会はフリーライター・エンタメ批評家の阪清和)
今回「アドルフに告ぐ」に出ることになって、どんなことを感じましたか?
鶴見辰吾 ※以下 鶴見  「アドルフに告ぐ」のハードカバーを20代で読んだ時、峠草平はもっと年上に感じていました。ですからあの年齢の役をやる歳になってしまったんだなという思いと、栗山民也さんの演出のものに出られるという喜び、それに神奈川県在住なのでこの劇場に通えるという3つの喜びがありまして。幸せです(笑)。

るみ子さんから見て同級生の鶴見さんがお父様原作の作品に出演されるというのはどんな感じなのですか?
手塚るみ子 ※以下 手塚 まあこの前にもいくつか出ていただいていますが、やはり鶴見さんが出られるというのはうれしいというか、ちょっと不思議な感じです。
成河さんはいかがですか?
成河 大変です(笑)。でも、きのう友達が見に来て、ヘリコプターの音とかに非常に恐怖心を感じたって栗山さんに言うと、「でもね、これ沖縄の人にしたら日常だから」って言われてちょっとショック受けました。

るみ子さんは「アドルフに告ぐ」執筆時のお父様のこと何かご存じですか?
手塚 「週刊文春」で連載された頃は高校生でしたのであんまり父の仕事ぶりは見てこなかったんです。ただこの作品は1983年からの連載で、その前の1981年に神戸でポートピア博というのがありまして、その時父と一緒に家族旅行に行っています。神戸の異人館とかを見て回ったんですが、数年後にこの「アドルフに告ぐ」の中にその時見た神戸の異人館が舞台になっていて、すごく不思議な気がしました。家族旅行で行きながら取材に行ってたんだなって思いました(笑)。父は昔から兵庫県の宝塚に住んでいましたので、神戸はよく行っていましたし、祖父が写真クラブに入っていて戦前の神戸を撮影に行っており、子供だった父も同行しているようなので、当時の異人の街も見ていたと思います。そういういろんな記憶や印象がかなりこの作品には出ていると感じましたね。

家族旅行とはいいながらも、やっぱり目というか脳はいろんなものを見ていたんですね。
手塚 そうですね(笑)。

その時見たものというのは、今日の舞台にも見えましたか?
手塚 舞台では神戸の風景とかいうよりも人間の心の部分や憎しみや愛などを前面に出されて描かれていましたね。それと闘いの怖さ、憎しみの大きさというものにはすごく強い印象を受けました。それは神戸であろうがドイツであろうが、どこの国でも同じなんだと。

そんな思いを手塚先生から聞いたことはありましたか?
手塚 戦争の体験を話としては聞いたことはなかったので、わたしたち家族自身も、手塚の漫画から受け継いできています。漫画を読んで「ああ、こういう体験を父はしてきたんだな」と知るわけです。

演じられていて、手塚先生のそういう思いは感じますか?
成河 いやあ、今日いろんなお話を聞いて感動しています。僕は、手塚先生は中学校の図書館にあった漫画で「火の鳥」「ブラックジャック」とか読んでいた中に「アドルフに告ぐ」もありました。作品にずるずると引きずり込まれていく、そういう効果を持ったものでした。なんか宇宙的な視点というか、すごく俯瞰したところから見ていて、すごく冷めていたりすごく熱かったりするんですよね。

漫画原作の舞台化ですが、演出の方針としては、漫画とは切り離してとらえていこうという姿勢のようですね。ただ世間の漫画でのイメージとのせめぎ合いはあると思いますが。
成河 稽古の初日に、栗山さんから「もう皆さん(原作の)漫画は読まないでください」という指示がありました。漫画の表現の仕方と演劇の表現の仕方はもちろん違って、漫画というのは一コマの中にすごくいろんな状況が込められているし、一コマでいろんなことを表現できるけど、演劇というのは時間の中で全部表現していかないといけないので、一コマのインパクトにとらわれることがないようにということでした。すごく抽象的な背景とか、ピカソの絵が出てくるような複雑な状況を3時間なら3時間の中で感じさせないといけないと。
鶴見 真剣に演じていてそれが滑稽で結果的に漫画のように見えるのはいいと。でも漫画を演じようとしちゃだめだともおっしゃいました。

アフタートークレポート 後半はこちら
【 全 日 程 終 演 い た し ま し た 】
たくさんの皆様のご来場、
誠にありがとうございました。
公式Twitter
稽古場・劇場から随時Tweet中!
ページの一番上へ戻る
舞台「アドルフに告ぐ」公式ホームページ | 2015年6月3日(水)~6月14日(日) | KAAT神奈川芸術劇場 ほか
ホームページ上のあらゆるコンテンツの無断転載を禁止いたします。
©手塚プロダクション | Copyright © 2013 Kanagawa Arts Foundation. All rights reserved.